スイッチング電源入門、そしてACアダプタ
どうもですタマゴさんですわ。
前回紹介したヘッドホンアンプのACアダプタについて長々書いてある記事です。
(ここで言うトランジスタとはMOS-FETのこと)
~以下どうでもいい前置き~
コンセントを差して動かす電子機器には電源回路が必要です。
その電源回路というのは商用電源、すなわち交流100Vや200Vを電子機器の回路が主に必要とする直流低電圧に変換してくれるというものです。
これは交流から直流に変換する回路ということからAC-DCコンバータと呼ばれています。
その電力変換方式として、昔は交流50Hz/60Hzを直接トランスにぶち込んで電圧を変換し、整流、平滑し、リニアレギュレータで安定化させるのが主流でした。
しかし、この方式だと、重くて大きなトランスが必要となり、また発熱も大きく効率があまりよくありませんでした。
そこで近年(でもないか)、スイッチング方式というのが主流となってきました。
この方式は、商用電源をそのまま整流、平滑したあと、トランジスタを用いてインダクタやトランスを高周波スイッチングさせ、電圧を変換するというものです。
これにより、大きなトランスは必要なくなり、小型化・軽量化し、発熱もほとんどなく高効率化が実現されました。
~前置きおわり~
というわけで今回はAC-DCコンバータについてです。
スイッチング電源におけるAC-DCコンバータとDC-DCコンバータの回路的な違いは、入力側と出力側が電気的に絶縁させているか否かです(たぶん)
DC-DCコンバータというと、ブーストコンバータやバックコンバータなど、インダクタを用いたチョッパ方式が典型的なものでしょう。
もちろん商用電源を整流、平滑し、DC-DCコンバータをつければAC-DCコンバータとして動作はします。
しかし、商用電源は100V以上ととても電圧が高く、感電する危険性があるため、入力側と出力側を電気的に絶縁する必要があるのです。
絶縁電源は感電防止だけでなく、インバータのブリッジ回路のハイサイド側の素子の駆動などに必要になる場合もあります。
今回作ったのは絶縁型のスイッチング電源の中で最も利用されている、フライバックコンバータです。
動作原理は他サイトをご参照ください。
今回はこれの制御用ICとして秋月に売っているFSD210Bを使用しました。
スイッチング用のトランジスタも内蔵されていて、外部に最小限の回路を組むだけで絶縁型のスイッチング電源を作ることができます。
決まった定格のトランジスタが内蔵されてしまっているので、出力容量が制限されます。(最大5W。弱い…)
スイッチング電源の入門としてよいのではないでしょうか。
以下が試作する回路です。
出力電圧のフィードバックにはTL431というシャントレギュレータとPC817というフォトカプラを使用します。
TL431はR(リファレンス)端子の電圧が2.5V以上になると、C(カソード)とA(アノード)間がONになる働きをします。
フォトカプラにより電気的に絶縁しつつ、出力電圧の情報を制御ICに送ります。
最も重要であるトランスは自作します。
EE25のコアを使用し、出力電圧5V、最大電流500mAとして、一次コイルの巻き数は37T、二次コイルは3T、IC用電源は7Tとしました。
定格に対してEE25では大きすぎたので、エアギャップを設けなくてもサチることはありません。
試作した回路です。
AC100VをDC5Vに変換してくれているのがわかります。
これで、トランス設計やFSD210Bの使い方の確認が取れたところで、ヘッドホンアンプ用のACアダプタを製作していきます。
出力巻線に中間タップを設け、それを0Vとすることで正負電源を出力します。出力電圧は±4.5Vです。
完成した回路です。
両端電圧が9Vになるように調整します。
コネクタは3PのミニDIN、コネクタはステレオケーブルを使いました。
ケーブルにはコネクタの近くにフェライトコアを取り付けます。
ケースに組み込んで完成です。
ドレイン-GND間の波形を見てみました。
負荷があるとき
負荷がないとき
このときトランスからジジジジという音が聞こえるので縮小してみると
このような波形になっていました。
負荷がない時は出力電圧がどんどん増えていき、定電圧を保とうにも出力の平滑コンデンサがなかなか放電されず、応答速度の遅延によりこのような間欠動作になるようです。
というわけで初めて実用的な絶縁型スイッチング電源を作ってみました。
世間一般にオーディオにはスイッチング電源はよろしくないという意見が多いようです。
トランス式電源に比べ、スイッチング電源はノイズを多く出すのが理由でしょう。
私には電池の時とスイッチング電源の時の音質の違いがわかりませんでした。
電子工作初心者のパワエレ幼女です。マジでド素人なので記事内容はあまり参考にしないほうがいいかもしれません。