ディスクリートオペアンプ、そしてヘッドホンアンプ

どうもですタマゴさんですね。

テスラコイルの研究が一段落し、最近は平和な電子工作を楽しんでいます。

電子工作初心者から少しでも遠ざかるため、アナログ回路の基礎を勉強しなおしているつもりです。

ということで、至る所で活躍してるオペアンプを、トランジスタから作ってみました。

以下の回路が2つ組まれています。

いわゆるオペアンプの内部回路の必要最低限な要素だけを組んでみた感じです。

簡単に動作原理を説明すると、差動増幅段で+端子と-端子の入力電圧の差を増幅したものをトランジスタ二段でさらに大きく増幅させて、出力段のプッシュプルで出力インピーダンスを小さくして出力しています。

出力段はダイオードのVfを利用し、トランジスタ2つ分のVbeに近いバイアスをかけています。

オペアンプは基本的に帰還をかけて使用するため、発振しやすい増幅回路ですので、位相余裕を持たせるため、差動増幅段と出力段の間に位相補償用のコンデンサを配置します。

トランジスタは部室にいっぱいあった2SC2120(Y)と2SA950(Y)を使っています。

 

試しに三角波発振回路を組んでみました。

しっかりオペアンプとして動作していることがわかります。

ヘッドホンアンプを組んでみると

結構いい音が鳴って(いる気がし)ます。

 

理論上はこの回路でオペアンプとして動作はするのですが、実際はディスリートとなるとさまざまな問題が出てきます。

同じ種類のトランジスタでも、それぞれにVbeやhfeなどの特性のバラつきがあり、さらに温度によっても大きく変動します。

そのことを踏まえ、改善した回路を使ってヘッドホンアンプを製作してみることにしました。

“設計時”の回路はこんな感じです。オペアンプ1つ分の回路は以下のようになっています。

定電流回路は省略しています。

トランジスタ同士をつなぐ破線は熱結合を表します。

熱結合をすることにより、温度による特性の変化のバラつきを結合した同士のトランジスタで共有し合い、バラつきを抑えることができます。

熱結合するトランジスタは、穴が開いていてネジでとめることのできる形状のトランジスタを選定しました。

 

定電流源を作るカレントミラーは、トランジスタのエミッタに抵抗をつけることにより、特性のバラつきによる影響を減らすことができます。

また、出力段のバイアス回路はダイオードを使用したものからトランジスタによる温度補償できるものに変えました。

オペアンプの記号を使ってまとめると、

このような回路です。

低音ブーストで低音の利得を調整できます。

ボルテージフォロワが並列になっているのはヘッドホンドライバーというものらしく、これを増やすと臨場感が増すようです。

ディスクリートで組むのでさすがに部品点数が増えすぎるので2並列が限界で悲しいですね。

某店で販売されている「巨人版ヘッドホンアンプキット」はボルテージフォロワが28並列になっている模様です。つよそうですね。

 

また、電源回路は、電池による電源と、外部からの電源に切り替えることができる仕様にしました。

外部からの電源があるとそれが優先されて切り替わります。

 

ぼちぼち組み立てていきます。

これでオペアンプ1回路分です。

 

基板は出来上がりました。

 

無入力状態の出力を見てみると・・・

これはひどいですね。どうやら発振してしまっている模様。

基板に組んだ時に至る所に寄生容量が発生して位相余裕が足りなくなってしまったようです。

よって位相補償用のコンデンサを増やし、低音ブースト回路の帰還にもコンデンサを追加し、高周波成分の増幅を防がせます。

位相補償用のコンデンサは10pFのコンデンサを並列につないで増やしました。

これにより発振をしなくなり、まともな音が鳴るようになりました。

 

アルミケースに組み込んで完成です。

かなりいい音質で鳴ってくれ(る気がし)ます。

隣にあるのは正負電源を出力するスイッチング方式のACアダプターです。

これについては次回紹介します。

 

というわけでディスクリートオペアンプ構成のヘッドホンアンプを作りました。

ICの大切さがよくわかりました。これで電子工作初心者の卒業に一歩近づけたかな。。。

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